カーバッテリーの電圧低下の原因は「充電不足」or「バッテリーの劣化(セルショート、サルフェーションなど)」です。
この記事ではさらに次のような疑問を解決しながら、バッテリー電圧低下の原因をさらに詳しく解説します。
- ディーラーで「バッテリー電圧低下しているから交換したほうがいい」って言われたけど交換しなきゃダメ?
- 自分でバッテリーの電圧確認してみたけど、どのくらい電圧低下していたらヤバい?
- 走行中に電圧が低下しちゃってるけどこれって異常なんじゃ…?
私はバッテリー開発の経験があります。バッテリーの特性には人よりも詳しい自負があります。
バッテリーの電圧低下でのよくある疑問に対し解説していきます。
この記事では、上記の疑問に対して3つのケースを使って回答していきます。バッテリー電圧についての知識を深めていってください。
バッテリー電圧について総合的にまとめた内容を読みたい場合は以下の記事をご覧ください。
【1】バッテリー点検で電圧低下していると言われた場合
ディーラーやガソリンスタンドの無料点検や車検のときに、お店の整備スタッフに「電圧低下してますよ」と言われたことはないでしょうか。
または、「CCA値が低い」「バッテリーテスターが要交換と出ている」と言われたことがあるかも知れません。
この電圧が低いという判定方法、果たして正しいのでしょうか?
結論:正しい場合もあるしそうでない場合もある
残念ながら、ズバッとした結論は出ません。
電圧が低い状態では、
- もう限界に近いくらいヤバい状態の電圧低下
- 充電状態が低いだけで充電すれば回復してしまう電圧低下
があります。
電圧低下で交換が必要かを判断することができないのはバッテリー特有の次の理由があるからです。
理由:劣化状態は電圧には正確にあらわれないから
電圧は充電状態を確認する目安にはなりますが、劣化状態を表す指標にはなりません。
劣化状態を正確に表さない電圧ですが、はっきりわかることもいくつかあります。
①ショート(短絡)による電圧低下
バッテリーの6つあるセルのいずれかがショート(短絡)している状態です。
セルショートすると通常は2Vぐらいあるセル電圧がほとんど0Vになります。
単純に考えれば、12Vのバッテリーが10Vになります。ここまで電圧が下がっていたら、完全に使用不可の状態です。
充電をして、いったん電圧が上がったとしてもすぐにまた電圧低下して使えなくなるでしょう。
②サルフェーション劣化による電圧低下
バッテリーの劣化でサルフェーションという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
サルフェーションは放電して極板が硫酸鉛になった状態で時間が経過して、元の希硫酸と鉛極板、酸化鉛極板に戻れなくなる状態をいいます。
サルフェーションの状態になってしまうと電解液の希硫酸の硫酸成分がもとに戻らず、電解液が薄くなります。
バッテリーの電圧は電解液の硫酸濃度に比例するので、サルフェーションが起こっていると電圧が低下します。
ただし、サルフェーションだけが起こって劣化しているということは「まれ」です。他の劣化と複合してしまっており、電圧からサルフェーションのみを判断することは難しいので注意が必要です。
対処:12~12.5Vぐらいなら充電すればOKかも
電圧低下が著しくない12~12.5V程度の電圧低下であれば、充電して問題なく回復する場合もあります。
走行での充電では充電制御が実施されてしまい十分な充電が実施されない場合もあるので、充電器でじっくり充電することをオススメします。
以下のような充電器を使えばしっかり充電してバッテリー上がりを未然に防ぐことにつながります。気になる方はチェックしてみてください。
充電で様子を見て改善しなければ交換
12~12.5Vの電圧において充電すればOK「かも」としています。
なぜなら、12~12.5V程度の電圧の状態で、寿命寸前ということもあるからです。
充電で一度復活してもまたすぐにバッテリー上がりするといった症状が出るなら、残念ですがバッテリー寿命なので交換する以外の対処法はありません。
交換用のバッテリーとしてPanasonicのカオスバッテリーをオススメしています。おすすめの理由を以下の記事でまとめているので興味がある方はチェックしてみてください。
>>Panasonic カオスバッテリーをおすすめする3つの理由【評判も紹介】
【2】自分で測定したときに電圧低下していた場合
自分で電圧がモニターできる電圧計を設置している方や、デジタルマルチメーターなどで直接電圧を測ったことがある方もいると思います。
その場合の電圧低下の確認ポイントについて解説します。
無負荷状態で11.5V以下
バッテリーの電圧は無負荷状態、できるだけ充電も放電もしていない状態で行うのがベストです。
なぜなら、バッテリーが充電状態ならバッテリー電圧は13~14.5Vぐらいに上昇してしまい、バッテリーが放電状態なら放電電によって電圧が降下してしまうからです。
放電での電圧降下はバッテリーの健康状態に関わらず電圧低下が起こるため、放電中にバッテリーの状態を判断することは困難です。
無負荷状態で11.5V以下というのは、バッテリーのセルショートが発生している可能性が高いです。
6つあるセルの1つ以上がショート(短絡)していると、そのセル分が0Vに近くなってしまうので著しく電圧が下がります。
この状態は
- バッテリーがすでに使用不可
- バッテリーが使用不可になる寸前
すぐにバッテリー交換することをオススメします。交換用には以下のカオスバッテリーをチェックしてみてください。
無負荷状態で11.5~12Vぐらい
このくらいの電圧範囲は、ほぼ0%のレベルまでバッテリーの充電率が下がっています。
すぐにしっかり充電してあげましょう。
充電器でじっくりと充電してやることでバッテリーは元気に戻ってくれる可能性があります。
ただし、このくらいの電圧でかなり放置していた場合はバッテリーが復活しない可能性も高いです。
充電しても復活できないバッテリーは交換が必要です。
交換用のバッテリーとしてPanasonicのカオスバッテリーをオススメしています。おすすめの理由を以下の記事でまとめているので興味がある方はチェックしてみてください。
>>Panasonic カオスバッテリーをおすすめする3つの理由【評判も紹介】
無負荷状態で12~12.5Vぐらい
充電率はかなり低い状態ですが、充電で救える状態であると考えられます。
使用期間が長いのであれば、寿命が近い可能性もあります。
使用期間が短いのであれば、しっかり充電してバッテリーを元気にしてあげましょう。
以下のような充電器を使えばしっかり充電が行えます。気になる方はチェックしてみてください。
【3】走行中に14V→12Vぐらいに電圧低下した場合
クルマに電圧をモニターできる装置などを取り付けている方も多くいると思います。
その電圧を観察していると、走行中なのに電圧がグッと下がっているということがあるかと思います。
これって一体なんなのかと不思議に思った方もいるかも知れませんが、これは異常ではありません。
以下の理由で、電圧低下が起きています。
理由:充電制御で燃費を良くしているから
走行中に電圧低下が起きるのは、車両の電源システムが「充電制御」をしているからです。
充電制御とは、バッテリーの充電電圧を制御することで充電するためのエネルギーを減らして、加速のためのエネルギーに割り当て、エンジンがつくるエネルギーを効率よく使って燃費を良くしようというものです。
バッテリーに対する電圧を高くすれば、バッテリーは充電しやすくなり、充電するためのエンジンの負荷は増えます。
一方、バッテリーに対する電圧を低くすれば、バッテリーは充電できなくなり、エンジンの負荷が軽減されるため加速のエネルギーに割り当てることができます。
充電制御をしているだけであって、走行中の電圧低下は異常な動作ではありません。
走行中は基本的に14V程度の充電中になっています。14Vの状態や他の電圧状態について解説した記事があるので興味がある方は以下をご参考ください。
>>あれっ?車のバッテリー電圧が14Vはどんな状態?正常?異常?
バッテリーの電圧低下 まとめ
次の3つのケースにおけるバッテリー電圧低下について解説しました。
- バッテリー点検で電圧低下していると言われた場合
- 自分で測定したときに電圧低下していた場合
- 走行中に14V→12Vぐらいに電圧低下した場合
バッテリーは電圧値である程度の状態確認が可能ですが、劣化状態を完全に把握することはできません。
あくまでも劣化や充電不足の目安として考え、電圧低下がどの程度おきているかを確認して、適切な対処を取りましょう。
その際にこの記事で解説した内容、電圧値を参考にしてみてください。