アイキャッチ_バッテリー性能ランク
この記事が解決できる疑問

「性能ランク」ってなんのことかよくわからないな?

 

バッテリーの性能ランクを上げたり下げたりするとどうなるんだろう?

 

性能ランクが低いバッテリーに交換すると問題あるのかな?

 

性能ランク下げたバッテリーを使うのって長期的に見てもおトクなのかな?

このような悩みを解決します!

私はバッテリー開発関連7年の経験があります。
カーバッテリーの特性を熟知しているので、性能ランクについても詳しく解説できます。

この記事では

  • 「性能ランクとはなにか?を計算式を使って解説」
  • 「性能ランクを上げるとどうなるか?」
  • 「性能ランクを下げるとどうなるか?」

を解説します。

この記事を読んでいただければ、バッテリーの性能ランクの意味がわかり、性能ランクを上げる場合のメリットや、性能ランクを下げる場合のデメリットなど理解することができます。

性能ランクについて総合的に書いた長い記事になっていますので、自分の読みたい項目を目次から選んでもらうと便利ですよ。

バッテリーの「性能ランク」とは何を意味するのか?

自動車用バッテリーの性能ランクとは「バッテリーの容量」「低温始動性能の高さ」を表す指標です。

バッテリーの性能ランクを計算式で解説

以下に性能ランクの計算式を示します。

性能ランクの計算式
出典:古河電池カーバッテリー総合カタログ

まず、JIS規格バッテリーとアイドリングストップ車用バッテリーの性能ランク計算式について説明します。

計算式の分子には「CCA (Cold Cranking Ampere)」「RC (Reserved Capacity)」という数値が使われます。この2つは規格で定められた試験によって測定された数値です。

CCAは「コールドクランキング電流」のことで、電解液温度-18℃の条件で大電流放電し、30秒目の電圧が7.2Vになるときの電流値を測定した指標です。(参考:電解液とは?)

カンタンにいえば、バッテリー上がりしやすい寒い時期でも電圧が下がりすぎずにしっかりエンジン始動できる電流を取り出せるバッテリーなのかを表す指標になります。

RCは「リザーブキャパシティ」のことで、電解液温度25℃の条件で、25A放電したときに10.5Vに電圧が降下するまでの放電持続時間を測定した指標です。

RCは「バッテリー容量の指標の一つ」です。

性能ランクはこのCCAとRCの掛け合わせを平方(√)して、2.8で割る計算をしています。

つまり性能ランクは「容量」と「低温始動性能」だけで、数字が決定されます。

「性能ランク」=「容量」ではない

よくある間違いは性能ランクをバッテリーの容量のことだと思っているケースです。

前述したように性能ランクは「容量」と「低温始動性能」の両方で決まります。

なぜ容量だけで決めないのかといえば、自動車用バッテリーは容量だけでなく始動性能も要求されるからです。

例えば、仮に容量だけで性能ランクが決まるとしたとき、容量をめいっぱい大きくする設計したらどうなるでしょうか。
答えは、偏った設計によって耐久性が悪くなり低温始動性能も極端に悪くなるという問題が出ル可能性があります。

自動車用バッテリーは他の用途の電池と違い、環境が暑かろうが寒かろうが車のエンジンを始動させるための大電流を安定して放電できることが1番の価値となります。

自動車用バッテリーは「容量」と「始動性能」両方がそろうことで高性能なバッテリーになります。

バッテリー選びの際もこの視点をもち性能ランクを正しく理解した上でバッテリー選びをすることが重要です。

EN規格の方はRCの代わりに「20時間率容量」を使用していますが、基本的な考え方は同じですので詳しい説明は割愛します。20時間率容量自体をよく知りたい方は以下の記事をご参考ください。

>>バッテリーの20時間率容量とは? 

>>バッテリーの5時間率容量・20時間率容量の違いは?換算方法も解説

性能ランクを上げるとどうなるか?

バッテリーの性能ランクは「容量」と「低温始動性能」に関する指標なので、性能ランクを上げることで4つのメリットがあります。

一方で影響は小さいですが、デメリットも2つあります。

4つのメリット・2つのデメリットについて解説していきます。

性能ランクを上げる4つのメリット

バッテリーの性能ランクを上げるメリットは以下の4つです。

性能ランクを上げるメリット4つ
  1. バッテリー上がりするまでの放置可能期間が長くなる
  2. 充電受入性が良くなり燃費向上
  3. 長寿命になる
  4. 寒い時期のバッテリー上がりに悩まされにくくなる

1つずつどんなメリットとなるのか解説していきます。

まず、①~③のメリットは性能ランクが上がることで容量が大きくなるという前提でのメリットとなります。

① バッテリー上がりするまでの放置期間が長くなる

バッテリーは長期間放置すると、暗電流と自己放電の影響で、バッテリーの充電率はどんどん下がっていきます。(参考:暗電流とは?

バッテリーが始動できないぐらいまで充電率が低下するとバッテリー上がりとなってしまいます。

容量が大きいバッテリーは、放電できる容量が大きいので、バッテリー上がりになるまでの時間も長いです。

そのため、容量が小さいバッテリーよりも長期間の放置が可能になります。

※長期放置し続けても絶対大丈夫という意味ではないのでご注意ください。放置し続ければいつか必ずバッテリー上がりします。

② 充電受入性が良くなり燃費向上

容量が大きいバッテリーと小さいバッテリーで、同じ充電率、他の設計仕様も同じ条件で充電受入性を比較すれば、必ず容量が大きい方が充電受入性はよくなり、燃費向上につながるでしょう。

実際の条件は様々な要因が絡み合ってくるので、必ず差が出るとはいいにくいですが、いくらかの差はでてきます。

③ 長寿命になる

容量が大きいバッテリーと小さいバッテリーで同じ電流条件で充放電をしたとき、容量が大きいバッテリーと小さいバッテリーでは放電深さが変わります。

鉛バッテリーというのは基本的に深い放電に弱い特性があるので、放電深さが深くなる容量が小さいバッテリーは劣化が早く、放電深さが浅くなる容量が大きいバッテリーは劣化が抑制されます。

少しの容量差で明確な差がでるかは、他の複合要因が関係してくるので絶対ということはいえないですが、他の条件を完全に揃えられるなら、容量によって寿命性能に差が出てくるでしょう。

④寒い時期のバッテリー上がりに悩まされにくくなる

冬場にバッテリー上がりを経験してバッテリー交換を余儀なくされた方もいるかと思います。

バッテリーは低温になると性能がガクンと落ちます。

これは電池の宿命なのでどうしようもない部分もありますが、電池メーカーの努力の賜物で低温性能は従来に比べて向上を続けてきました。

寒冷地の方にとっては死活問題となる必須の性能です。

寒い地域に住んでいる方は性能ランクを重視してバッテリー購入することをオススメします。

性能ランクを上げる2つのデメリット

性能ランクを上げるとメリットもありますが、当然デメリットとなるところもあります。

性能ランクを上げるデメリットは以下の2つです。

性能ランクを上げるデメリット2つ
  1. コストアップ
  2. 重量アップ

① コストアップ

性能が上がるということはそれだけの対価を払わねばなりません。

どのくらいのコストアップになるかを調べました。

以下の画像はよく使われる3サイズを同じメーカーの性能ランク違いで価格比較したものです。

性能ランクによる価格差調査

※価格は2020年11月の情報です。価格は時期によって変動します。

どのサイズのバッテリーでも性能ランク1アップするのに対して、200~300円のコストアップとなっており、大きめのバッテリーのほうが上昇比率は高いようです。

あとはユーザーのみなさんがこの価格アップだけの価値を見極められるかだと思います。

性能を上げると材料費もアップしますし、このくらいのコストアップは妥当なところではないかと思います。

② 重量アップ

これも性能とのトレードオフになる部分ですが、性能を上げるには材料の鉛の量を増やすというのが定石ではあるため致し方ないところです。

どのくらいの重量アップになるかを調べて比較しました。(データ元は古河電池のwebサイトです)

同サイズの質量比較

バッテリーの種類やサイズは先程のコストの例と同じバッテリーです。

結果は、300~400[g]の差があることがわかりました。

この重さアップをどの程度のデメリットと取るかは考え方次第ですが、それだけ性能が上がっていると思えば許容できるレベルの重量アップではないでしょうか。

性能ランクを下げるとどうなるか?

バッテリーの性能ランクは「容量」と「低温始動性能」に関する指標なので、性能ランクを下げることで3つのデメリットがあります。

まずは性能ランクを下げる3つのデメリットを解説します。

性能ランクを下げる3つのデメリット

性能ランクを下げるデメリットは3つあります。

性能ランク下げるデメリット3つ
  1. 冬場にバッテリー上がりしやすくなる
  2. 放置可能な期間が短くなる
  3. バッテリーの寿命が短くなる

1つずつどういうデメリットで、なぜデメリットとなるのか理由を説明していきます。

① 冬場にバッテリー上がりしやすくなる

冬の雪と車
このデメリットはバッテリーの悩みごとの代表格であるバッテリー上がりの可能性が高まるというものです。

冬場にバッテリー上がりが起こりやすくなるのは性能ランクを下げたことによって低温始動性能が低下するからです。

低温始動性能はバッテリーが「-18℃」と非常に温度が低い状態で、どれだけ電圧を維持しながら大電流を放電できるかを表す指標の「CCA」が重要になるとご説明しました。

つまりCCAは低温時の指標であるためCCAによる違いは気温の高い時期にはほとんど現れません。

車両自体が寒冷地仕様で、性能ランクの高いバッテリーが搭載されていたり、今現在冬の気温が氷点下になるのが当たり前というような北の地域に住んでいるような場合は、性能ランクを下げるという選択はバッテリー上がりが頻繁に起きて命取りになる危険性があります。

そういった地域の方は性能ランクや低温始動性の重要性をよく理解している方も多いのでケチって性能ランクを下げるということはあまりないと思いますが、自分の使用する車の地域や用途をいま一度確認して性能ランク選びを慎重におこなうことが重要です。

② 放置可能な期間が短くなる

これはどんなデメリットかというと、車を使用しないで放置しておける期間が短くなるということです。

バッテリーは長期間放置すると「暗電流」「自己放電」の影響で、バッテリーの充電率は下がっていきます。(参考:暗電流とは?

バッテリーが始動性能を確保できないレベルまで充電率が低下するとバッテリー上がりとなります。

性能ランクを下げるということは容量が小さくなることにも繋がるので、バッテリー上がりせずに放置可能な期間が短くなるわけです。

このデメリットは使い方によっては回避できる部分もあります。

毎日走行してバッテリーを十分充電できるような使い方であればほとんど問題となりません。

③ バッテリーの寿命が短くなる

LIFE_寿命
バッテリーを長期間使用しているとだんだん新品のときに取り出せていた容量が取り出せなくなってきます。

これをバッテリーの「劣化」と言いますが、バッテリーの劣化には様々なモードがありバッテリーの使われ方によって複合的に影響してきます。

性能ランクを下げることとどう関係があるかというと、まず性能ランクが小さいバッテリーは性能ランクが大きいものより基本的に新品時の容量が小さいです。

同じ充放電履歴を与えたときに、容量が小さい方が大きい方よりも蓄積するダメージは大きくなるということはデータで明らかですし、感覚的にもイメージすることができると思います。

容量差がそれほど大きくなければ大きな違いは出ないものなのですが、バッテリーの使用期間は長いのでこの差がじわじわと効いてきて性能ランクを下げた場合のほうが短い寿命になってしまいます。

性能ランクを下げることは可能

ここまでデメリットについて説明してきたので、「性能ランクを下げることはできないのかなあ」と思われる方もいるかも知れないですが、ここまでに述べたデメリットはバッテリーを使用する上で致命的な問題になるものではありません。

同サイズにおいてバッテリーの性能ランクを下げることは可能です。

性能ランクを下げるメリットもある

デメリットばかりを説明してきましたが、性能ランクを下げることで得られるメリットもあります。

バッテリーの性能ランクを下げることで得られるメリットは次の2つです。

性能ランクを下げるメリット2つ
  1. バッテリーが安い
  2. 重量が軽くなる

1つずつ説明していきます。

① バッテリーが安い

当然ですが、性能が良い方がバッテリーの値段は高い傾向にあります。

メーカーが異なると逆転している場合もありますが、韓国製造と国内製造では信頼性が違うのでコストと信頼性、性能、どういったところを重視するかはユーザーの考え方で変わってきます。

そんな背景もあるので、ここでは同じメーカーに絞って、同じネットでの価格を使って比較をしていきます。

以下は価格調査した結果になりますが、比較の対象として

  • 古河電池のAltica(アルティカ)シリーズで統一
  • 販売ショップは1つに固定
  • 同サイズで性能ランク違い同士

という条件で比較を実施しました。

性能ランクと価格の比較表
結果は1性能ランクあたり213~298円安いという結果になりました。

性能ランクを下げることで価格が安くなるというのは事実ですが、この価格差で性能ランクを下げることが良いのか悪いのか判断がつきにくいと思うので、長期的なコストでどちらがいいか調査しました。

結果は後半で説明します。

② 重量が軽くなる

車にとって軽量化は燃費の向上に繋がります。カーメーカーは燃費のために部品の重量を減らすための開発も重視しています。

バッテリー性能が落ちたとしても、機能的に問題がなく重量ダウンできれば、それはメリットになります。

先ほど比較したバッテリーのスペック上の重量を調べた結果が以下の表です。

性能ランクと重量の比較
結果は300~400[g]の軽量化効果があることがわかりました。

この効果が燃費に与える影響は微々たるものであると推測されますが、長期間乗り続ける部品である事を考えれば少しでも軽いことは十分なメリットになると考えられます。

ここまでバッテリーの性能ランクを下げることでの「デメリット」と「メリット」を説明してきました。

性能ランクを下げる場合デメリットもメリットもありますが、同サイズで性能ランクだけを下げるのであれば、致命的な問題は発生しないので性能ランクを下げることは可能です。

最終的にはメリットとデメリットを天秤にかけて、個々人で最終的な判断をする必要があります。

続いては「性能ランクを下げるかどうか」の判断の助けとなるコストに関する調査をしたのでその結果をご説明します。

バッテリーの性能ランクを下げた場合の長期的コスト

コストのイメージ
性能ランクを下げた場合に、将来に渡ってのコストが下がるのかどうかを計算しました。

様々な仮定のもとで算出した値なので、これが絶対というものではないものだとご承知のうえでご参考にしてください。

前提条件

  • 先ほど説明した中で価格差が一番大きいB24で比較
  • 性能ランク高と低で寿命期間は1年差があると仮定(補償期間から設定)

性能ランクの大小での長期に渡るコスト試算
左は補償期間の2年と3年で交換を繰り返したと仮定したときの試算結果です。

使用期間10~30年のバッテリー費用は常に高ランクバッテリーの方が低く、長期の使用で見た場合は高ランクのほうがお得ということになります。

真ん中は寿命年数を3年と4年と仮定して交換を繰り返したときの試算結果です。

この場合でも常に高ランクバッテリーの方がコストは低い結果でした。

最後に右の結果ですが、寿命年数を4年と5年と仮定して交換を繰り返したときの試算結果です。

ここでようやく、低ランクのバッテリーと高ランクのバッテリーのコストが同等になりました。

これらの結果から、1年程度の寿命期間の差がある場合、通常の交換頻度2~5年程度では、低ランクのバッテリーは長期に渡るコスト面でお得ではないという結論になりました。

ただし、これはあくまでこの価格差(3980円)で、寿命の差が1年と仮定した場合の試算結果なので、この差が異なる場合、結果は変わります。

仮に価格差が大きく、寿命の差が小さくなれば、低ランクバッテリーに軍配があがるようになります。

「仮定だとかなんとかで結局結論出てないじゃないか!」という声が聞こえてきそうなので、こうしたらいいのではないかというご提案を1つします。

提案できることは「性能ランクは見ないで、同サイズで最安値のバッテリーを探すこと」です。

性能に当たり外れはあるかも知れないですが、よっぽどのハズレを引かない限りはそれなりの寿命は期待できます。

さきほども少しふれましたが、買う場所(ネット通販か実店舗か)、製造メーカーによっては性能ランクと値段が比例していない例がゴロゴロしています。

よっぽど極端な使い方をしたり、粗悪品でない限り、安くて性能ランクが低いバッテリーのコストパフォーマンスは良いと思いますし、探し方によっては性能ランクが高く安いバッテリーも見つかるかも知れません。

ただし、次のような使い方の場合は性能ランクの高いバッテリーを選ぶことをオススメします。

  • 寒冷地で使用する
  • 電動スライドドアを使用する

性能ランクを重視する用途では性能ランクの高いバッテリーを選ぶことが重要です。

なかなかバッテリーを探すのは大変な作業です。

探すのが大変という方にはカーエイドストアというサイトが愛車の適合バッテリーを探しやすくてオススメです。

以下のような画面で適合バッテリーを探しやすいサイト設計になっています。

 

バッテリーの「性能ランク」まとめ

性能ランクとはなにかを計算式を使って解説し、性能ランクを上げたとき、下げたときのメリットやデメリットなどを解説しました。

この記事の内容をまとめます。

性能ランクとは?
  1. 「容量」と「低温始動性」から決まるバッテリーの性能指標
性能ランク上げるについての結論
  1. 容量が大きくなることでのメリットがある
  2. 低温始動性向上することでのメリットがある
  3. デメリットはコストと重量だがそれほど大きな影響ではない
性能ランク下げるについての結論
  1. デメリットはあるが致命的なものはない
  2. 同サイズで性能ランクを下げることは可能
    (ただし、寒冷地、電動スライドドアに注意)
  3. 長期に渡るコストは基本的に性能ランクが高いバッテリーの方に軍配があがる
  4. 安くていいバッテリーも探せばあるので、性能ランクを気にせず安いものを選ぶのもアリ

性能ランクについて理解を深めていただけたでしょうか。

性能ランクを上げたり下げたりすること自体でなにか致命的な問題が出るというようなものではありません。

メリット、デメリットをよく理解した上で次の交換用バッテリーが選べるようになるといいですね。

交換用バッテリーをお探しなら性能ランクが高くて安心できるPanasonicのカオスバッテリーがオススメです。以下の記事でオススメ理由を解説していますのでご興味のある方はご参考ください。

>>Panasonic カオスバッテリーをおすすめする3つの理由

 

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