バッテリー液って危険な液体だって聞いたことがあるけど大丈夫なんだろうか?
バッテリー液に触れてしまったときの対処法が知りたい!
バッテリー液は取り扱いを誤ると危険!正しい知識をつけて作業しないとね。
私はバッテリー開発経験があり、バッテリーの構造や取り扱いの注意点なども熟知しています。
この記事ではバッテリー液に関する以下のことを解説します。
- バッテリー液が付着するとなぜ危険なのか
- バッテリー液が目に入った場合の対処
- バッテリー液が手についた場合の対処
- バッテリー液が服についた場合の対処
- バッテリー液を使用する前の準備
この記事を読めば、バッテリー液を扱うときの「もしも」に慌てずに対処することができます。また、安全に作業を行うことで自分の身を守ることにもつながります。
さっそく結論です。
以下はバッテリー液が各箇所に付着したときの対処法です。
- 目に入ったとき→流水で15分以上洗い流す→眼科受診
- 手についたとき→手を水でしっかり洗う
- 服についたとき→すぐに脱いで洗濯(※天然繊維は穴があく可能性あり)
バッテリー液を取り扱うときは次の準備をすると万全です。
- 保護メガネで目を保護
- ゴム手袋着用で手を保護
- 化学繊維の汚れてもいい服着用
これらの道具について気になった方は以下リンクからチェックしてみてください。
もっと詳しく理由なども知りたい方は本文も読み進めてください。
バッテリー液が付着するとなぜ危険なのか
バッテリー液は危険な液体です。
なぜなら、バッテリー液には希硫酸が使用されているからです。
カーバッテリーに用いられる鉛蓄電池は化学反応のエネルギーを電気に変換しています。その化学反応には電極に用いられる活物質と電解液である希硫酸が必要です。
希硫酸は強酸性の液体で、物質に対する酸化作用があります。
特に危険なのは希硫酸中の水が抜けて、濃硫酸になった場合です。濃硫酸は物質から激しく水を奪う作用があります。
例えば皮膚に付着すれば、皮膚中の水分を奪うことで火傷状態を引き起こします。
バッテリー液(硫酸)は危険な液体です。取り扱いには十分注意しましょう。
バッテリー液の成分についての解説は以下の記事をご参考ください。
バッテリー液が目に入った場合の対処
バッテリー液は危険な液体と説明しましたが、特に目に入った場合が要注意です。
万が一、目に入ってしまった場合の対処を説明します。
流水で15分以上目を洗い流す
一番大事な対処は「目を洗う」ことです。
硫酸は濃度が濃ければ濃いほど、酸化作用が強く危険です。
目に入ってしまってもできるだけ早く流水で洗い流して、硫酸分を薄めることが重要です。
推奨は15分以上洗い流してください。
「そんなに長い時間やってられない」という場合でも数分は絶対に洗ってください。この対処をやるかやらないかでは目へのダメージがだいぶ違います。
念のため医療機関で受診
応急処置(目を洗う)をしたあとは、念のため医療機関(眼科)を受診しましょう。
これは硫酸の取り扱い注意事項にも必ず記載されていますし、自分の身体を大事に思うなら必須です。
必須ではありますが、私の経験上、希硫酸の飛沫が目に入った後、すぐにしっかり目を洗えば目へのダメージはありませんでした。目を洗ってから受診した眼科で異常は見つからず、念の為の炎症止めの目薬を出されて終わりました。
私のケースはこうでしたが、希硫酸の飛沫だとしても目に入った場合は医療機関を受診することを推奨します。
なにかあってからでは遅いです。医者に診てもらうことで安心を買いましょう。
バッテリー液が手についた場合の対処
作業中にバッテリー液に手で触れてしまう可能性は目に入るよりも当然高いです。手についた場合はどうすればよいでしょうか。
手を水でしっかり洗う
バッテリー液が直接手についた場合は水でしっかり洗いましょう。
目に入った場合同様、硫酸が付着した部分の濃度をしっかり下げることが重要です。
流水で洗えば硫酸分は流されて皮膚へのダメージはほとんどないでしょう。
ですが、触れても大したことがないからといって放置するのはNGです。
なぜなら、皮膚に付着した希硫酸は時間とともに水の成分が蒸発し、硫酸の濃度が高まるからです。硫酸の濃度が高まると、酸化作用が強くなり皮膚から水分を奪い火傷のような症状を引き起こします。
バッテリー液が手についたときはしっかり手を洗いましょう。
バッテリー液が漏れたときの対処中に手につくこともあると思います。バッテリー液が漏れてしまったときの対処は以下の記事が参考になりますよ。
バッテリー液が服についた場合の対処
バッテリー液が服についた場合はどんなことが起きるのでしょうか。
まずは、服についたときに起こることを説明します。
綿などの天然繊維は穴があく、ポリエステルなどの化学繊維は穴があかない
希硫酸が綿などの天然繊維に付着すると穴があきます。
一方、ポリエステルなどの化学繊維についても穴はあきません。
なぜ綿は穴があいてしまうかというと、綿などの天然繊維は希硫酸により加水分解が発生するからです。
この加水分解は衣服だけに限らず、紙などでも同様に穴があいてボロボロになります。植物由来の繊維などはすべて当てはまると考えてください。
穴があくのを防ぐにはバッテリー液を取り扱う作業時にポリエステルの服を着て作業するのが一番良いのですが、綿の服についてしまった場合はどうすればよいでしょうか。
早く脱いですぐに洗濯する
付着したことに気づいたら早く脱いですぐに洗濯しましょう。すぐに洗濯できなければ水につけ置きしておきましょう。
硫酸分をできるかぎり取り除くことが重要です。
ただし、この方法で穴があくのを防げる確率は低いと考えてください。
なぜなら、繊維についた硫酸分を完全に取り除くことは困難だからです。
絶対に穴があかないことを保証できる方法ではありません。
硫酸がついてしまった服の穴が開くことはかなりの確率で避けられません。洗ったあと、しばらく様子を見て穴があいてしまったら諦めてください。
バッテリー液を使用する前に準備を整えよう
バッテリー液を取り扱うときは次の準備をすると万全です。
- 保護メガネ着用で目を保護
- ゴム手袋着用で手を保護
- 化学繊維の汚れてもいい服着用
保護メガネ着用で目を保護
なぜなら目にバッテリー液が入ると最悪失明の恐れがあるからです。
万が一、目に入ってしまったらよく水で洗い流して、眼科受診することで最悪の事態は免れますが、あらかじめ保護しておけば安心です。
以下のリンクから、保護メガネをチェックしてみてください。
ゴム手袋着用で手を保護
あらかじめ手袋をして、バッテリー液に直に触れないようにしておきましょう。
手袋は上の画像のような、手にフィットするニトリルゴム手袋をおすすめします。
おすすめの理由は、
- 手にフィットしないゴム手袋では作業がしにくいから
- ゴム製でない軍手などではバッテリー液が付着すると溶けてしまうから
ニトリルゴム手袋を着用しての作業を推奨します。
以下のリンクから、ニトリルゴム手袋をチェックしてみてください。
化学繊維の汚れてもいい服着用
化学繊維であるポリエステル100%の服を着用しての作業がオススメです。
上の画像は例としてポリエステル100%のつなぎです。
このような作業着を着用して作業すれば、バッテリー液が付着しても服に穴があくことはありません。
以下のリンクから、ポリエステルの作業着をチェックしてみてください。
まとめ
本記事のまとめです。
バッテリー液が付着したときの対処
- 目に入ったとき→流水で15分以上洗い流す→眼科受診
- 手についたとき→手を水でしっかり洗う
- 服についたとき→早めに水につけおき→洗濯(※天然繊維は穴があく可能性あり)
バッテリー液を取り扱うときの事前準備
- ゴーグル着用で目を保護
- ゴム手袋着用で手を保護
- 化学繊維の汚れてもいい服着用
バッテリー液のチェックをしたり、補充したりする作業は慣れないうちはやりにくいものです。
慣れていない作業で事故は起こりやすいものです。万全な準備と知識で、不測の事態にも慌てず対処できるようにしていきましょう。
バッテリー液の作業前は以下の道具を準備しておくと万全です。気になった方はチェックしてみてください。