
バッテリーって何年で寿命になるんだろう?
バッテリーっていつ交換するのがいいんだろう?
バッテリーの寿命をできるだけ延ばしたいなあ
このような悩みを解決します!
下っ端バッテリー開発員が独自の切り口でバッテリーに関する悩みに答えていきたいと思います。
この記事では「バッテリーの寿命が何年なのか?」「バッテリーの交換はいつするのがよいのか」「できるだけバッテリーの寿命を延ばすためにどんな方法があるのか」をご説明します。
この記事を読んでいただければ、バッテリー寿命に対する疑問を解消することができます。
バッテリーの寿命は何年か?
バッテリーの寿命は3年ほどとよく言われますが、本当に3年なのでしょうか。
「3年で寿命だから交換だよ~」というのは大昔から言われている"おまじない"のようなもので、実態にあったものではないと考えます。
実際には車の使い方やバッテリーの性能、品質バラツキによって寿命は大きく変わってくるものであり「ズバリ寿命は何年!」と結論を出すことは非常に難しいです。
それでは「なんだよ結局わからないのかよ!」と言われてしまいますので、この記事の意味がありません。
ということで、なんとか結論を出します。
「経験」や「ネットの口コミ」「バッテリー設計や耐久性」など諸々考慮して、次の3つのパターンに分かれるというのが私の出した結論です。
バッテリーの寿命年数 3つの結論
- 普通は4~5年
- 使い方が悪いと2~3年
- 10年以上の猛者もいる!?
普通の寿命は4~5年
よく言われている3年というのは、バッテリーメーカーが補償する年数からきています。
スタンダードクラスのバッテリーなら補償期間は2年、ハイクラスのバッテリーなら3年というのが大体の相場です。
つまり「バッテリーは最低2~3年は相当変な使い方をしない限り寿命にならずに使えますよ~」とメーカーがお墨付きを出しているようなものです。
ということは、2~3年に対してさらに1~2年をプラスした4~5年というのが妥当な寿命のラインだと言えます。
それはなぜかと言うと、2~3年という補償期間に対してギリギリ2~3年もつかどうかというバッテリーを世に出していては無償交換が大量に発生してバッテリーメーカーの損害が大きくなってしまいます。
そんなことは避けなければなりませんから、プラス1~2年の余裕を持って寿命になるような設計がなされ、それを確認する寿命試験も実施されているわけです。
図にすると以下のような関係です。
もちろん例外もあるので、コレが絶対というわけではないですが、よっぽどキビしい使い方をしないかぎりは4, 5年が寿命の妥当ラインであるというのが私の見解です。
使い方が悪いと2~3年
使い方が悪いとメーカーが保証する期間ギリギリかそれ未満の寿命となってしまう場合があります。
その場合は大体2~3年が寿命の目安となります。
どんな使い方がバッテリーの寿命によくないかを説明します。
使用頻度が低く短距離走行しかしない
いわゆるチョイノリと呼ばれる乗り方で「サンデードライバー×近所に買い物」のパターンです。
「この乗り方がどうしていけないの?」と疑問を持たれる方も多いと思います。
バッテリーは充電と放電の総量で蓄えられる電気量が決まります。
これを充電率(SOC:State of Charge)と呼びます。
スマホのバッテリー残量が○%というのはなじみがあると思います。
まさにそれがSOCです。
以下にイメージを示した通り、充電すればSOCは増えますし、放電すれば減ります。
バッテリーというのは放置していると「自己放電」と「車両の暗電流」による放電で、徐々にSOCが低下していきます。(参考:暗電流とは?)
その減ったSOCを取り返すには走行してオルタネーターで発電して充電するしかありません。
ですが、走行前に自動車はエンジン始動でスターターモータを回すための電力をバッテリーから大量に持ち出します。
使用頻度が低くてチョイノリというのは
「使用頻度低い⇒暗電流での放電時間が長い」
「チョイノリ⇒始動放電するのに、走行時間が短くて充電がほとんどできない」
この繰り返しになるため「充電量<放電量」となり、SOCはどんどん低下し最悪バッテリー上がりしてしまいます。
こんな状態を長引かせてしまうとバッテリーは致命的なダメージを蓄積して想定よりも早い寿命をむかえてしまいます。
電気を多く使うオプションやアクセサリを使用している
エアコンやスマホの充電、ナビやオーディオをはじめとした電気機器をたくさん積んで使っていることでバッテリーの消耗を早めている可能性があります。
他にもドライブレコーダーやイモビライザーなど駐車中にも電力を使用するような機器は特に注意が必要です。
こういった電気機器を増やす場合は性能ランクの高い容量の大きいバッテリーを使用して対策をすると効果的です。
エンジンをかけずにナビやオーディオを使用する
電気機器をたくさん積んでいても走行中の受電量が機器の電力を上回っていれば、バッテリーの収支はプラスとなりそれほど問題がありません。
一番問題になるのは充電をせずに、放電だけをしてしまうようなケースです。
つまりエンジンをかけずに「POWERスイッチがACC(アクセサリー)の状態」で、ナビやカーオーディオを使用するときです。
このときバッテリーは数[A(アンペア)]の電流による放電が発生します。
短時間であったりそのあと充電率を回復できる充電があればそれほど大きなダメージとはなりませんが、放電が長時間続いたり、放電だけになる使い方を継続しているとバッテリーは消耗していきます。
アイドリングストップ回数が異常に多い
アイドリングストップ車の場合になりますが、アイドリングストップというのはストップ中はエンジンが止まるので、バッテリーへの充電が止まります。
その状態ではバッテリーから車内の機器への電力を供給するため、放電電流は車にもよりますが10A以上とかなり大きくなります。
さらに再始動のためにスターターモーターを回す電力は数100Aの大電流となるため、バッテリーから持ち出される電気量は多くなります。
そのあと充電率を回復する充電があればいいですが、信号の多い市街地や渋滞した道を走行している場合には放電過多になってしまいます。
このような使い方が慢性的になされていればバッテリーの消耗は激しく、寿命は短くなってしまうと考えられます。
10年以上使う猛者もいる!?
短期間で寿命になってしまうケースを説明しましたが、寿命になかなかならず10年使うようなケースもあるとネット上では見かけます。
ただ実際にはかなりのレアケースなので、「そんなことも世の中にはあるんだなあ」という程度に受けとめていただきたい情報だと思います。
ただしバッテリーの実力が向上しているのも事実で、私の実体験でもかなりの期間使用できたケースがありました。
それは妻が乗っていた軽自動車のミライース(アイドリングストップ機能あり)の話です。
この車両にはM-42バッテリーが搭載されていました。
新車からバッテリー交換はされておらず、最終的に8年目の冬前までバッテリー交換無しで乗ることができました。
走行距離は年10,000km程度とそこそこ乗っており、通勤でほぼ毎日使用するような車でした。
液面レベルが下がっていたので途中一度だけ補水をしています。
10年にはおよびませんでしたが、8年という平均からしたら十分長寿命になるケースも世の中にはたくさん存在しているのだと思います。
現在私が乗っている車のS-95バッテリーは6年目に突入しており、どのくらいの寿命になるか調査もかねて使用を継続しています。
以上、「バッテリーの寿命が何年になるか」についてご説明しました。
続いてはその寿命を見こして「バッテリーはいつ交換するのがベストなのか」について、あなたのバッテリートラブルへの考え方にあった方法をご説明します。
バッテリーはいつ交換するのがベストか?
バッテリートラブルへの対処に対する考え方によって「いつ交換するのがいいか」が変わります。
「バッテリートラブルにあうなんてゴメンだよ!」という方と「バッテリートラブル上等!自分で対処できるぜ!」という方にわけて、バッテリーのベストな交換タイミングについてのご提案をしていきます。
バッテリートラブルにあいたくない場合
バッテリーというのは必ずいつかは寿命になって交換が必要になる消耗部品です。
バッテリートラブルにあいたくない場合は寿命の先回りをして交換する必要があります。
バッテリーの先回り定期交換が必要
寿命を先回りした定期交換として次の2つの方法を提案します。
先回りバッテリー交換の提案
- 4年目の冬に入る前に交換
- 寿命の前兆を感じたら交換
できれば1つ目を徹底するのをオススメしますが、勘の鋭い方なら2つ目もアリかもしれません。
詳しく説明していきます。
提案①:4年目の冬に入る前に交換する
「何年で寿命になるか?」のところで説明しましたが、普通の使用であれば4~5年が寿命の目安となります。
それに対して先回りするなら4年目での交換です。
さらに言えばバッテリー上がりが増加する冬に入る前に予防交換するのがベストです。
バッテリーは温度によって放電性能が変わる特性があります。
気温が高ければ始動できていたバッテリーでも冬が近づき気温が下がってくると放電能力が低下してバッテリー上がりを起こします。
それをきっかけに寿命をむかえることもしばしばあるわけです。
バッテリートラブルが起こる前に先回りしてトラブルを未然に防ぎたいのであれば、4年目の冬に入る前の交換をオススメします。
バッテリー購入はネットで探して交換するのが断然オススメです。
ネットでバッテリーを探すならAmazonアカウントでの購入もできるバッテリー専門店が安心できます。
提案②:寿命の前兆を感じたら交換する
一番わかりやすい前兆はエンジン車限定ですが、始動時のモーター音です。
キュルキュル回る音がいつもより長くなってきたなと思ったら黄色信号です。
寿命になるのは時間の問題で、このまま冬場に突入したらバッテリー上がりになる確率大です。
この時点で交換しておくことをオススメします。
この方法はハイブリッド車では使えませんし、最近のバッテリーは突然死というタイプの寿命をむかえる場合もあるので確実性は低い方法であることは認識しておいてください。
バッテリートラブルにあってもいい場合
バッテリートラブルにあってもいいと考える場合は、予防交換なんて考えなくてよく「バッテリーが寿命になってから交換」すればいいのです。
もちろんすすんでトラブルにあいたいという人はいないとは思うのですが、「バッテリー上がりにあうぐらい慣れているし対処法もよく知っているから問題ないよ」という方もいると思います。
なにより、バッテリーを限界まで使用するほうが車の使用期間あたりのバッテリー費用は最小限に済みますからね。
「バッテリーが寿命になってから交換」という選択は、バッテリー上がりトラブルにあうというデメリットはあるもののコスト面でのメリットもあるわけです。
こちらを選択する方に向けて「バッテリー上がりにあったときにすぐ対処できる自衛策」を3つご紹介します。
自衛策①:ジャンプスターターを常備する
リチウムイオンバッテリーの発展によってLiイオン電池内臓の小型のジャンプスターターが販売されるようになってきました。
このジャンプスターターなかなかの実力があり、バッテリー上がりから復活したという口コミも多数あります。
スマホのモバイルバッテリーと兼用することができる製品もあるため1台車に常備しておくといざというときにいろんな用途で役立ちます。
バッテリーは自己放電するので定期的に充電しておくことを忘れずに。
いざというときにジャンプスターターの電池が空では本末転倒なので。
以下はモバイルバッテリーにもなるタイプでオススメです。
自衛策②:ブースターケーブルを常備+救援車が呼べる
定番方法である「ブースターケーブルを救援車につなげてジャンプスタート」する方法です。
「ジャンプスタートを正しく実施する知識」と「救援車を提供してくれる方の協力」が必要です。
ブースターケーブルのつなぎかたなどのジャンプスタートのやり方は以下の記事をご参考ください。
fa-file-text-o関連記事バッテリー上がりしたときの対処方法、応急処置はこの2択
自衛策③:JAFなどのロードサービスに加入
路上での車のトラブルはロードサービスに頼ってしまうというのもアリですよね。
バッテリー上がりに限らずいろんなトラブルに対応してくれるので加入していると安心です。
自動車保険の付帯サービスでロードサービスが使えたりもしますが、回数制限などの制約もあったりして若干使いにくい部分もあります。
そこで原点回帰で「JAFに加入しておく」というのはどうでしょうか。
JAFの場合、非会員でも呼ぶことはできますが、非会員が呼ぶと以下の料金になっています。(2020年11月調べ)
非会員の場合バッテリー上がり救援の料金は13000~25000円ぐらいかかり、かなりの出費になります。
会員であれば何回ロードサービスを呼んでも年会費以外にはかかりません。
バッテリー交換にもJAFを使う裏技があります。
詳しくは以下の記事から。
バッテリーの使用年数を確かめるには?
国内メーカーのバッテリーは上面に製造年月日が記載されています。
メーカーやバッテリーの種類によって位置に多少差はありますが、バッテリーには以下のように製造年月日の刻印がされています。
詳しい説明は以下の記事をご参考ください。
バッテリーの寿命をできるだけのばす方法は?
ここまで「バッテリーの寿命が何年なのか」「いつ交換するべきか」についてご説明してきました。
交換するタイミングが大体わかってきたらそれを少しでものばして、バッテリー交換費用をおさえたくなりますよね。
続いては「バッテリーの寿命をのばす方法」について以下の4つをご紹介します。
バッテリーの寿命をのばす方法
- 高頻度で長めに走行する
- アイドリングストップを切る
- 電解液が減っているなら補水
- 充電器で定期充電
①:高頻度で長めに走行する
車は毎日、適度に使いましょうというのが1つ目の方法です。
バッテリーは車が使われていない間にも、自己放電と暗電流による放電があるので、どんどん充電率は下がっていきます。
その分を毎日取り戻すぐらいの「充電」=「走行」をしてあげることで寿命が伸びるという考え方です。
長めにの目安は30分くらいです。
駐車中に放電した分を充電できるくらいの時間は走行しなければなりません。
ですが、逆に走行時間が長すぎる(例えばタクシーみたいな使い方をする)と、充電過多になったり充放電量が多すぎるため寿命は短くなってしまいます。
②:アイドリングストップをOFFにする
バッテリーの寿命に対してアイドリングストップは毒にしかなりません。
このアイドリングストップに対しての耐久性を強化したのが「アイドリンストップ車専用バッテリー」なわけですが、このようなバッテリーもアイドリングストップがなければもっと長寿命になるのは明白です。
アイドリングストップをOFFにしてバッテリーをいたわれば長寿命になります。
毎回OFFスイッチを押すのが面倒であれば「アイドリングストップキャンセラー」という製品もありますので検討してみてはいかがでしょうか。
③:電解液が減っているなら補水する
極板が露出するほど液が減ると一気に寿命に近づきます。
極板が露出しないようにLOWERレベルからUPPERレベルの間になるように液量を管理しておく必要があります。
液はいっぱい入れればいいというものでもないのでUPPERレベルまでの補水にとどめておきましょう。
バッテリーに入れるのは「精製水」という不純物のない水を入れることをオススメします。
余計な添加剤が入ったものは自己放電を促進する可能性があるので私はオススメしません。
必要な添加剤(微量の金属イオン)はバッテリーメーカーが既に入れています。
④:充電器で定期的に充電する
充電制御やアイドリングストップ機能付きの車の場合、レギュレーターによって電圧が調整され、燃費をよくするために充電を抑制する制御が行われています。
この充電制御のシステムはバッテリーを部分的な充電状態(PSOC:Partial State of Charge)に保つことで充電効率を上げて燃費を上げるという手法が使われています。
この方法はバッテリーの充電パフォーマンスを上げる一方で、充電不足の状態が継続するため寿命は短くなってしまう方法になっています。
この寿命が短くなってしまうことへの対策は定期的な満充電を実施してあげることです。
バッテリーがリフレッシュし、寿命を伸ばすことができます。
充電制御車ではなかなかしっかりとした充電ができないため外部の充電器で充電してあげると寿命が延びます。
外部のAC電源から充電する充電器(バッテリーチャージャー)は様々な商品がありますが、高性能で信頼できる製品として以下に紹介するバッテリーチャージャーをオススメします。
充電器で定期的に満充電することでバッテリーを長寿命化させられれば最終的にバッテリー費用を低くおさえられますよ。
まとめ
最後にこの記事のまとめをしていきます。
1つ目の疑問まとめ
1つ目の疑問は「バッテリーの寿命は何年?」でした。
この疑問に対する回答は以下の通りでした。
バッテリーの寿命は何年?
- 普通は4~5年
- 使い方が悪いと2~3年
- 10年以上の猛者もいる!
2つ目の疑問まとめ
2つ目の疑問は「バッテリーはいつ交換するのがベスト?」でした。
この疑問に対する回答は以下の通りでした。
先回りしてバッテリー交換するなら
- 4年目の冬に入る前に交換
- 寿命の前兆を感じたら交換
先回りのバッテリー予防交換はネットで探して交換するのが断然オススメです。
ネットでバッテリーを探すならAmazonアカウントでの購入もできるバッテリー専門店が安心できます。
バッテリー上がり後に対処するなら
- ジャンプスターターを常備する
- ブースターケーブルを常備+救援車が呼べる状態にしておく
- JAFロードサービスに加入
この中でもJAFを年会費だけで呼べる状態が一番安心できます。
会員であれば何回ロードサービスを呼んでも年会費以外にはかかりません。
3つ目の疑問まとめ
3つ目は疑問ではないですが「バッテリーの寿命を延ばしたい」という要望に答えた提案でした。
バッテリーの寿命を延ばす方法
- 高頻度で長めに走行する
- アイドリングストップを切る
- 電解液が減っているなら補水
- 充電器で定期的に満充電
この中でも「④充電器で定期的に満充電」を特にオススメします。
賢くバッテリー寿命を延ばしてバッテリー交換費用をおさえましょう。
以上、ご参考にしていただけましたら幸いです。